【大家主導】原状回復とは違うリフォームの取組み方
こんにちは。
先日の投稿で、アパートの1室のリノベーション事例を投稿したところ、「どのように、いつもとは違ったリフォームを進めたらよいのか」といった質問を受けました。
確かに、いざ原状回復とは違う、付加価値を付けるようなリフォームを自分もしてみたいと思ったときに意外と進め方が分からなかったので、今回は自分の経験をもとにその方法について検討したいと思います。
目次
【大家主導】原状回復とは違うリフォームの取組み方
1.通常の原状回復のフロー
通常、現状回復が必要となるのは、入居者の退去が発生したタイミングとなります。
退去発生の際、原状回復から再募集の開始まで、以下の手順で進められていくケースが多いです。
- 退去発生
- 管理会社から、退去した部屋の現状報告とリフォーム(原状回復)の提案
- 提案内容に問題なければ承認
- 提案内容にそってリフォーム(原状回復)実施、完了報告
- リフォームと並行して再募集開始
築浅の物件などは、原状回復ベースの対応で十分なケースも多いので、上記のフローに沿って進めていけばよいと思います。
ただし、物件のバリューアップを行いたい場合には、通常の原状回復フローとは異なるパターンで進めるケースが多いです。
2.付加価値リフォームを行う際の問題点
物件のバリューアップを行う際には、①管理会社経由で行うか、②自らが行うかの2択になると思います。しかし、いずれの場合も、いざ進めようとすると行き詰まるケースが多いです。
管理会社経由でお願いする場合
- 管理会社にデザインノウハウがないので、提案を期待できない
- 管理会社と取引のあるリフォーム会社にもノウハウがない
- 大家から管理会社への指示の出し方が分からない
まず管理会社ですが、多くの物件を管理していますので、退去後の事務フローについては、機械的にこなしているケースがほとんどです。そのため、いきなり「付加価値がつくようなリフォームを提案してほしい」とお願いしても「どうしていいか分からないし、面倒くさい」ケースが多いです。
また、賃貸物件のリフォームを中心に行っている業者は、低単価の原状回復案件を多数こなして業務を回しているところが多いので、管理会社と同じく「どうしていいか分からないし、面倒くさい」ということになりがちです。
また、大家側にも「こうしたい」というイメージがわいていないケースも多いうえ、イメージがあったとしても、上記のような管理会社やリフォーム業者の方に、伝えて理解してもらうというのは相当ハードルが高くなります。
自ら発注する場合
- 適切なリフォーム業者を知らない
- 賃貸物件の付加価値リフォームを行っている事業者がそもそも少ない
大家自らリフォーム会社(特にデザイン性のあるリフォーム会社)と関係を持っている場合は少ないので、自らリフォーム業者に発注しようとした場合「だれに頼めばよいの?」という第一歩目でつまづく場合が多いです。
また、賃貸用物件のリフォームは、予算に制約があり利幅が薄いので、そもそも行っている業者が多くないというのも現状としてあります。
つまり、デザイン性の高い賃貸用物件のリフォームは、発注する人も少ないし、利幅も薄いので業者を探しても中々見つからない、というのが現状だと思います。
3.リフォーム会社との関係作りが大切
業者が少ないのであれば、自ら「業者を開拓する」「自分の理想とするチームを作る」必要があります。
そのため、ネットなどで良さそうなリフォーム業者を探し、直接問い合わせをして、自分のしたいことに賛同してもらい、一緒に取り組んでもらえるように交渉していきます。
門前払いだったり、話は聞いてくれるものの「予算」「手間」といった面で渋い顔をされたりということもありますが、きちんと話していけば協力してくれる業者さんは見つかると思います。
一度関係が作れると、そのリフォーム業者さんと関係のある「デザイナー」や「インテリアコーディネーター」といった方を紹介いただけたりする機会も出てきます。
そうすると、自分を中心とした「チーム」が出来上がり、対応領域の幅が広がることになります。
自分も、時間をかけて業者さんと関係を作り、打合せを重ねながらチームを作りました。
4.プロトタイプを作ってみる
いざ、協力してくれるチームができ「さぁ始めよう!」となった場合、最初は出来上がりのイメージが共有できない場合が多いです。
そこで、まずはプロトタイプを作ってみるとよいと思います。
実際に、先日アップした部屋はプロトタイプとして作ったもので、出来上がりのイメージ・手間・予算などをチームで確かめながら作りました。
- 壁紙のカラーイメージ(グリーン&天井の木目)
- DIY風キッチン
- DIY風クローゼット
- ツートンのフローリング などなど
こういった知識をアップデートしながら、次のリフォームにつなげています。
5.管理会社と事務フローの調整も必要
部屋のリフォームを行うにあたり、管理会社と事務フローも確認しておかなくてはなりません。
通常、管理会社経由でリフォームしていたものを大家自らリフォームすることになるため、リフォームの開始・完了時期、募集用資料(写真)の撮影などのスケジュール調整を行っておかなくてはなりません。
管理会社の担当者も多忙なので、きちんと「報告・連絡・相談」をしながら進めましょう。
何件かこなすとお互いに慣れてくると思います。
部屋を作るよりも、「部屋を作るための仕組み」を作る
結論としては、これにつきます。
仕組みからオリジナル・差別化できると、賃貸経営を行うにあたっての強い競争力になります。最初は大変ですが、ぜひ、取り組んでみてはいかがでしょうか。